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未払賃金立替払制度


 このページは、未払賃金立替払制度について説明しています。
  目 次 ( Index )
 1 未払賃金立替払制度とは
 2 未払賃金立替払制度で立替払いをしてもらえる対象
 3 未払賃金立替払制度で立替払いをしてもらえる金額
 4 未払賃金立替払制度で立替払いをしてもらえる金額の計算手順
 5 未払賃金立替払制度を利用することができる場合
 6 事実上の倒産の場合の手続きの流れ
 7 未払賃金の立替払い後の使用者の責任
 8 未払賃金立替払制度を利用する際に準備しておくもの
 9 未払賃金立替払制度のご利用に際し専門家に依頼すべき場合

未払賃金立替払制度とは


 未払賃金立替払制度とは、企業(会社等の法人・個人事業主)が倒産(破産)したために賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、未払いになっている賃金の一定額について、政府が事業主に代わって立替払を行う制度です。独立行政法人「労働者健康福祉機構」が、この未払賃金立替払事業を実施しています。

未払賃金立替払制度で立替払いをしてもらえる対象


 未払賃金立替払制度で立替払いをしてもらえる対象は、退職前6か月間の「定期賃金(お給料)」及び「退職手当(退職金)」です。

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未払賃金立替払制度で立替払いをしてもらえる金額


 未払賃金立替払制度で立替払いをしてもらえる金額は、簡単にいいますと、「未払賃金総額の8割(80%)」です(原則)。ただし、退職日の年齢による「限度額」があります。よって、「未払賃金総額」又は「限度額」の「いずれか低い額」の8割(80%)になります。「限度額」については次項目参照。

「実際の未払賃金の総額」










いずれか低い方 × 0.8




未払賃金総額の限度額」





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未払賃金立替払制度で立替払いをしてもらえる金額の計算手順


 具体的には、以下の手順で計算します。
 まず、@の欄で、ご自身の退職日における年齢をみます。
 次に、Aの欄の「未払賃金総額の限度額」と「実際に未払になっている賃金総額」を比べます。
 そして、「実際に未払になっている賃金総額」の方がAの欄の「未払賃金総額の限度額」より低い額であれば、C<「実際に未払になっている賃金総額」に0.8をかけた(乗じた)額>になります。
 反対に、Aの欄の「未払賃金総額の限度額」の方が、「実際に未払になっている賃金総額」より低い額であれば、Bの欄の「立替払上限額」になります。

 @退職日における年齢 A未払賃金総額の限度額 B立替払上限額
  45歳以上 370万円 296万円
  30歳以上45歳未満 220万円 176万円
  30歳未満 110万円 88万円

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未払賃金立替払制度を利用することができる場合


 「企業(会社等の法人・個人事業主)が倒産(破産)したために賃金が支払われないまま退職した労働者」とありますが、これには以下の注意が必要です。

未払賃金立替払制度の対象となる「企業」

 未払賃金立替払制度の対象となる「企業」とは、会社等の法人に限らず、個人事業主であっても、労働者を1人以上使用する事業主であれば原則として対象になります。(※正確には労災保険強制適用事業、また事実上の倒産ケースでは「中小企業」の定義に該当する必要もあります。)

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未払賃金立替払制度の対象となる「倒産」

 未払賃金立替払制度の対象となる「倒産」には下記の2種類があります。
(1)法律上の倒産
 @破産法に基づく破産手続きの開始、A会社法に基づく特別清算の開始、B民事再生法に基づく再生手続の開始、C会社更生法に基づく更生手続の開始について、裁判所の決定又は命令があった場合をいいます。
(2)事実上の倒産(※中小企業の場合)詳細な手続きの流れ
 事業活動に著しい支障を生じたことにより、労働者に賃金を支払えない状態になったことについて労働基準監督署長の認定があった場合をいいます。
 具体的には、@事業活動が停止し、A再開する見込みがなく、B賃金支払能力がない状態になったことをいいます。→詳細な手続きの流れ

未払賃金立替払制度の対象となる「退職した労働者」

 未払賃金立替払制度の対象となる「退職した労働者」にあたるには、
@倒産について裁判所への破産申立等(事実上の倒産の場合は、労働基準監督署長への認定申請)が行われた日の6か月前から2年の間に退職していること。
A未払賃金の総額が2万円以上あること。
の2つの要件をみたす必要があります。

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事実上の倒産の場合の手続きの流れ


@ 認定申請 (未払賃金のある労働者→労働基準監督署)


 退職日の翌日から起算して6か月以内に、労働基準監督署に「認定申請書」を提出します。これは、事業主が「事実上の倒産」をしたこと、つまり、@事業活動が停止し、A再開する見込みがなく、B賃金支払能力がない状態になったことを労働基準監督署の署長に認定するよう求めるものです。未払賃金のある労働者が複数いる場合、代表者ひとりの申請で足り、誰かが既に申請している場合、改めて認定申請する必要はありません。

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A 認定通知書交付 (労働基準監督署→申請者)


 労働基準監督署が、労働者からの認定申請に基づき、該当事業主を調査し、「事実上の倒産」であると認定されると、申請者に「認定通知書」が交付されます。認定されない場合も、認定されなかったことの通知が届きます。

B 確認申請 (未払賃金のある労働者→労働基準監督署)


 「事実上の倒産」の認定通知書の交付があった後は、未払賃金のある労働者の方は個々人で、労働基準監督署に未払賃金額等の「確認申請書」を提出します。この「確認」の手続きでは、未払賃金があることを証明する資料が必要になります。まったく資料がなく、かつ、事業主側が非協力的であったり、夜逃げなどして証言を得られない場合は、「確認通知」がされない可能性があります。

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C 確認通知書交付 (労働基準監督署→申請者)


 労働基準監督署が、労働者からの確認申請に基づき、個別に未払賃金の金額等を調査し「確認」されると、申請者に「確認通知書」が交付されます。

D 立替払請求 (労働者→労働者健康福祉機構)


 「確認通知書」が交付されましたら、それを添付して、労働者健康福祉機構に未払賃金の立替払いを請求します(「未払賃金立替払請求書」の提出)。

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未払賃金の立替払い後の使用者の責任


未払賃金の立替払いを行ったときは、労働者健康福祉機構は労働者の承諾を得て賃金請求権を代位取得し、事業主等に求償することとなります。

未払賃金立替払制度を利用する際に準備しておくもの


 使用者であった事業主が協力的であれば、未払賃金立替払制度を利用する際に準備するものとして注意すべき点はあまりございません。注意すべきは、事業主が夜逃げしているケース等非協力的な場合です。労働者が実際に働いた証拠になるタイムカード等が処分されたり、持ち逃げされてしまうことがあります。したがって、普段から証拠になりそうなもの(雇用契約書、給与明細、業務日誌等)を確保しておくことが望ましいです。

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未払賃金立替払制度のご利用に際し専門家に依頼すべき場合


 未払賃金立替払制度をご利用するにあたって、当ページや労働者健康福祉機構等のウェブページを参照したり、労働基準監督署に相談すれば、専門家に依頼するまでもなく、ご自身で必要な手続きはすべてすませることができます。
 当事務所にご相談・ご依頼するのに適しているケースは、

@事実上の倒産のケースで
Aご自身で申請に行きにくい事情がある場合

 だと思われます。Aの具体例としては、病気やケガ等のためご自身で労働基準監督署にいくのが困難な場合や、在留外国人の方などです。

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