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遺言についてよくある質問


<遺言についての質問一覧>


【遺言その1】遺言とは何ですか?
【遺言その2】遺言はどのように書けば良いのですか?
【遺言その3】遺言にはどのような種類があるのですか?
【遺言その4】未成年者でも遺言は書けますか?
【遺言その5】夫婦2人でまとめて1通の遺言を書くことができますか?
【遺言その6】自筆証書遺言の書き方は? パソコン等でも可能ですか?また後に訂正はできるでしょうか?
【遺言その7】公正証書遺言の作り方は?遺言者が寝たきり、口や耳が不自由な場合は?証人を2人頼めない場合はどうすればよいのでしょうか?
【遺言その8】遺言には何を書いてもいいのですか?
【遺言その9】同居して面倒を見てくれている子により多く相続させることはできますか?
【遺言その10】遺言執行者とは何でしょうか? どんな役割をしますか?
【遺言その11】一度書いた遺言は書き直せないのですか?
【遺言その12】本人が亡くなった後、遺言書が見つかった場合、遺族は何をすればよいか? 封をされている場合勝手に開けて見てよいのですか?

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◆【遺言その1】遺言とは何ですか?


 自己の死後、特定の人に遺産を相続させたい場合や、誰がどんな割合で遺産を相続するかを指定して相続人の間で相続争いが起こらないように備えたい場合は、自己の意思を文書にして作成しておくことになります。これが遺言です。
 遺言を残さなかった場合、人が死亡すると、その人の遺産は法定相続人(民法が定めた範囲の親族)が相続することになります。

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◆【遺言その2】遺言はどのように書いても良いのですか?


 遺言書は、民法により定められた方式で書かれていなければ、法的に効力のある(有効な)遺言書とはいえません(民法960条)。

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◆【遺言その3】遺言にはどのような種類があるのですか?


 民法で定められた遺言には、大きく分けて普通方式と特別方式があります。このうち、普通方式の遺言には次の3種類があります。

 1 自筆証書遺言(民法第968条)自筆証書遺言について

 2 公正証書遺言(民法第969条)公正証書遺言について

 3 秘密証書遺言(民法第970条)

 よく利用されるのは(1)自筆証書遺言と(2)公正証書遺言です。いずれの方式であっても、民法が定めている形式を守らないと無効となりますので、専門家に頼む方が良いです。

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 特別方式の遺言は、以下の方式がありますが通常は使いません。

 1 危急時遺言(ききゅうじゆいごん)

 疾病などで死亡の危急が迫っているため署名などできない者が遺言をしようとするとき、その趣旨を口頭で伝え証人が書きとめる方式。三人以上の承認の立会いが必要。(民法第976条)

 2 隔絶地遺言(かくぜつちゆいごん)

 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にいる者が遺言書を作る場合、警察官一人と証人一人以上の立会いが必要。(民法第977条)

 3 船舶中遺言(せんぱくちゅうゆいごん)

 船舶中にある者が遺言書を作る場合、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いが必要。船長又は事務員一人及び二人以上証人の立会いが必要。(民法第978条)

 4 船舶遭難者遺言(せんぱくそうなんしゃゆいごん)

 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、口頭で遺言をすることができる。船長又は事務員一人及び二人以上証人の立会いが必要。(民法第979条)

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◆【遺言その4】未成年者でも遺言は書けますか?


 未成年者であっても、満15歳になれば、遺言をすることができます。(民法第961条)

◆【遺言その5】夫婦2人でまとめて1通の遺言を書くことができますか?


 たとえ夫婦であっても共同で1つの遺言を書くことはできません。遺言は、ひとりひとりの意思によって個別に作成される必要があるので、2人以上の者が同一の証書ですることはできないとされています(民法第975条)。

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◆【遺言その6】自筆証書遺言の書き方は? パソコン等でも可能ですか?また後に訂正はできるでしょうか?


 1 自筆証書遺言の書き方について

 自筆証書遺言は、その全文、日付及び氏名を「自筆で」書いた上でし、これに印を押さなければなりません(認印でも良いのですが)。よって、他人の代筆によるものやパソコン等で作成したものも、遺言者の真意を判定できないので無効とされています(民法第968条1項)。

 2 自筆証書遺言の訂正等について

 遺言に変更を加える場合は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して、特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じません(民法第968条2項)。形式に間違いがあると、変更の効力が認められない場合もありますので、間違えた場合ははじめから書き直すか、専門家に相談してから訂正を行ってください。

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◆【遺言その7】公正証書遺言の作り方は?遺言者が寝たきり、口や耳が不自由な場合はどうすればよいのでしょうか?また、証人を2人頼めない場合はどうすればよいのでしょうか?


 1 公正証書遺言の作成について

 公正証書遺言は、公証人に対して遺言者が遺言の内容を伝え(「口授(くじゅ)」といいます。)、それに基づいて公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめて作成します。これを公証人が遺言者及び立ち会っている二人の証人に読み聞かせ、又は、閲覧させて、内容が正確かどうか確認し、3人が署名捺印することで完成します(民法969条)。公証人は全国各地にある公証役場で執務しています。

 2 遺言者が寝たきり等の場合について

 遺言者が寝たきり等で公証役場まで出向けない場合、遺言者の依頼によって、公証人に入院先の病院や自宅に出張してもらうことができます。ただし、手数料に公証人の出張経費が加算されます。

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 3 口がきけない方、耳が聞こえない方が遺言書を作成する場合について

 平成11年の民法改正により第969条の2が追加され、口がきけない方が遺言書を作成する場合、遺言者の「通訳人の通訳による申述又は自書」を、上述の「口授」に代えなければならないことになりました。耳が聞こえない方に対しても、公証人は、「筆記した内容を遺言者に伝えて」、上述の「読み聞かせ」に代えることができます。

 4 2人の証人について

 証人が見つからない場合は、公証役場か、行政書士等の専門家に、ご相談ください。
 証人は、「未成年者」、「推定相続人及び受遺者と、これらの配偶者及び直系尊属」、「公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人」以外であれば誰でもなれます(民法974条)。ですが、もし、上記の方が証人として署名押印した場合はその遺言書は効力がない(無効となる)ので、ご注意下さい。当事務所までご相談ください。

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◆【遺言その8】遺言には何を書いてもいいのですか?


民法上は以下の事項について書くことが出来ます。これ以外の事項を書いても良いですが、法的な拘束力はありません。

遺産相続に関する事項
推定相続人の廃除、廃除の取消し(民法第893条、第894条)
共同相続人の相続分の指定又はその委託 (民法第902条)
特別受益者の受益分の持ち戻し免除(民法903条第3項)
遺産分割の方法の指定又はその委託、遺産分割の禁止(民法第908条)
共同相続人の担保責任の定め(民法第914条)
遺言執行者の指定又は指定の委託(民法第1006条1項)

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財産処分に関する事項
包括遺贈・特定遺贈(民法964条)
遺留分減殺方法の指定(民法第1034条)、寄附行為(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第158条2項)信託の設定(信託法第3条2号)

身分行為
認知(民法781条2項)
未成年者の後見人の指定(民法第839条)
未成年者の後見監督人の指定(民法第848条)

その他
祭祀承継者の指定(民法第897条1項)

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◆【遺言その9】同居して面倒を見てくれている子により多く相続させることはできますか?


 同居して面倒を見てくれている子により多く相続させる旨の遺言書を書くことで可能になります。遺言によって法定相続分とは異なる相続分を指定することができます。(民法第902条、903条3項)ただし、他の子の遺留分額を超えた相続分を指定した場合には、その他の子らに遺留分を請求する権利が発生しますので、注意が必要です(民法第1028条)

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◆【遺言その10】遺言執行者とは何でしょうか? どんな役割をしますか?


 遺言執行者とは、遺言者によって指定された、又は家庭裁判所によって選任された者で、遺言書の内容を実現する責務を負った者です(民法第1006条・1009条・1010条)。職務は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為です。(相続財産目録の作成、相続財産の管理、遺贈の履行、遺言認知の届出等)。なお、職務遂行にかかった費用、報酬等は、相続財産から支出されます。

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◆【遺言その11】一度書いた遺言は書き直せないのですか?


 遺言は何度でも書き直すことができます。新しく作成した遺言で前に書いた遺言を撤回することも出来ます(民法第1022条、第1025条)。また、被相続人の死後、複数の遺言書が見つかった場合、日付の最も新しい遺言が有効となります。ただし、生前より、後で問題が起きないように、新しい遺言書を作成した時点で、古い遺言書を破棄する方がいいので、当事務所にご相談ください。

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◆【遺言その12】本人が亡くなった後、遺言書が見つかった場合、遺族は何をすればよいのでしょうか? 封をされている場合勝手に開けて見てよいのですか?


 遺言書が見つかった場合、保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。(民法1004条1項)。「検認」とは遺言書の現状を確認し証拠を保全する手続です。ただし、これを経たからといって遺言の内容が有効と確認されたものではないとされています。なお、公正証書遺言の場合、この手続は必要ありません(民法第1004条2項)。
 また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができないことになっています。(民法第1004条3項)。

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